昨年ニュースになりましたが、石川県の基地を飛び立ったベテランパイロットが操縦するF15DJ戦闘機が墜落しました。原因は空間識失調とされ、夕暮れの訓練で離陸し高度150mで雲に入った後、前席後席の二名とも機体の傾きを認識できませんでした。離陸55秒後、墜落の2秒前に気付きましたが脱出さえできず墜落しました。人間は、ある環境に置かれると微細な変化に気付くことができません。空中で認識と現状がずれることを、空間識失調と言います。
大袈裟かもしれませんが、コロナの3年間で気付かないうちに牧会の空間識失調に陥っていました。自覚しないまま変わったのは、牧者や牧場家族との関係です。知立教会が家の教会として歩み始めると共に、牧者と牧場家族がVIPに仕えられるように、信徒の立場に立って具体的な助言と見本を示すように努力しました。ところがコロナが襲うと、対策に奔走しつつ、教会と牧場を守らなければならないと思いました。必要な意識であったと思いますが、以前のように一緒にVIPを見ながら、牧者の隣に立って支えるのではなく、牧者を助けたいとの願いが勝り、向き合うようになっていました。牧者はきっと、コロナ禍の牧場運営の難しさに加え、居心地が悪かったのではないかと察します。幸い自分の姿に気付けたので、牧会の方向性を修正し始めました。信徒が主の召しに応えられるように、隣に立って助ける家の教会牧師としての成長をお祈りください。
「聖徒たちを整えて奉仕の働きをさせ…建て上げる」エペソ4:12抜粋