五感による交わり
牧会コラム その663 …五感による交わり
緊急事態宣言が解除され、社会が動き始めました。6月からは学校も全面的に再開されます。一方で、一部企業の在宅勤務が続くなど、以前とは異なる世界が見え始めています。
国会では、スーパーシティ法案が可決されてしまいました。便利さと個人の尊厳が調和することなく、一部の企業利益と官の支配が優先されたように感じます。中国の徹底した管理社会は有名ですが、既に日本でも非常に多くの監視カメラが人々を追いかけ、道路のカメラが移動情報を把握しています。日本には顔認証技術をはじめ、世界最高の技術があるので、情報を一元化するならば、とても便利な社会が実現します。顔パスでの買い物、関心ある情報だけ表示するスマホ、楽しい娯楽や飲食に事欠くことはありません。しかし、ひとたび事故を起こしたり、意図せぬ犯罪に巻き込まれたりするならば、裸同然にあらゆる個人情報が開示されます。また、政府に批判的な意見や行動を起こすならば、何らかの権利が奪われ、差別的な不利益を被ることも十分に考えられます。与えられる便利さではなく、本当の必要を選び取る時代に入ったのです。
五感を使った人間関係がすたれ、通信技術に頼る関係への傾倒は危険です。情報次第で、いとも簡単に関係が壊されるからです。私たち自身が、次の時代を見据え、主体的に便利さと危うさを理解した上で選ぶ必要と責任があります。
私たちは、家の教会で五感による深い交わりを体験しています。電子情報に置き換えられない人間として、五感による関係を深めその価値を世に発信し続ける責任があります。社会の便利さや効率化を否定しませんが、過剰に期待せず、人間本来の良さが生きる牧場の恵みを証しし、社会に発信し続けたいと願います。先ずは、食事を囲む牧場を再開したいと願います。祈りましょう。
「家々でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし」使徒2:46抜粋